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吉田たかよしさん

吉田たかよし Web Site

医学博士。日本で初めてNHKアナウンサー、医師、衆議院議員・公設第一秘書を歴任。
灘中学、灘高校、東京大学卒業。東京大学大学院を修了し、NHKアナウンサーとして活躍。
医師免許を取得後、元自由民主党幹事長・加藤紘一衆議院議員の公設第一秘書として科学技術政策の立案に取り組む。その後、東京大学大学院・医学博士課程を修了。

現在、本郷赤門前クリニック院長。ラジオ番組「吉田健康、あなたのドクターたかよしです」(文化放送、月〜金、AM8:00〜)、文化放送インターネットTV「吉田健康クリニック」出演中。

著書に 「思い通りに人を動かす、最強!会話術」(徳間書店)、『分かりやすい話し方の技術』(講談社ブルーバックス)、『話は最初のひと言で決めなさい!』(中経出版)、「2週間でベスト脳をつくる本!」(大和書房)、『“すぐやる人”になれる本』(成美文庫)、『脳を活かす!必勝の時間攻略法』(講談社現代新書)、「子どもの学習脳を育てる法則!」(こう書房)、『脳を天才にする!勉強法必勝バイブル』(講談社)、『勝てる子供の脳〜親の裁量で子供は伸びる』(角川書店)、『不可能を可能にする最強の勉強法』(PHP出版)、『仕事脳』(講談社)、『1分間ですべてが決まる!』(サンマーク出版)、『"できる人"は地図思考』(日経BP社)、『脳力をのばす!快適睡眠術』(PHP新書)、などがある。

※上記プロフィールは取材当時のものです。

Interview vol.19 吉田たかよしさん

NHKアナウンサー

テレビに出るために必要なのは、自分が本当に「好き」なことを見つけ、それを「極める」ということ

今回は、元NHKアナウンサーで、現在は医師として文化放送の番組やTBS「サンデージャポン」他、情報バラエティ番組に多数出演するなど活躍中の吉田たかよしさんに、アナウンサーから医師という、究極の転職について伺いました!

Q1.アナウンサーになったきっかけはなんでしたか?

私は大学院でバイオテクノロジーの研究をしていたのですが、エコノミストになりたくて、独学で国家公務員試験I種経済職試験にも合格しました。しかし、まずアナウンサーとして音声表現能力を身につけ、将来エコノミストとして、自分なりの情報を世間に投げかけていきたいと考え、NHKに入局しました。

Q2.5年間アナウンサーをされた後、医師に転進。なぜ医師になろうと思われたのですか?

結局この社会での現象は 、全て人間の人体、特に脳が起こしている。そういう医学の切り口でいうと、世の中で起こっているほとんどの事件・事故・政治の動きなど、究極を言うと全て医学で切れると思ったので医師になろうと思いました。

Q3.アナウンサーの転職についてどう思いますか?

アナウンサーは、二つに分かれていくと思います。一つは「音声表現」をとことんまで極めていく人。こういった方はプロフェッショナルとして一生やってもらいたいです。ただし、本当にプロのアナウンサーとして球が投げられるのは、アナウンサーの中で2割くらいだと思います。残りの8割は、特に女子アナの場合はアナウンサーをいずれ辞めるケースのほうが多いですよね?そんな場合、アナウンサー経験に何かをプラスして、新たに社会に向けて別の球を投げたらいいと思うんです。3年や5年でアナウンサーを辞めるのはよくあるパターンですが、第2のスタート地点に立ったと考えていただきたいですね。

Q4.一度就職すると、できればそれを一生続けたいと思うのでは?

アナウンサーの場合は特にそう思いがちですよね。でもよく考えたら、マイクの前に職員や社員として立つのは非常に贅沢なことなんですよ。
局アナは、いわば「放送局のお抱えタレント」。特に女子アナの場合はそうですよね。しかし女優やタレントとなると「売れてなんぼ」。見た目は華やかだけど、陰では「ここまでするの?!」というほど涙ぐましい努力をしています。テレビの出演者という、需要より供給のほうが数百倍、数千倍多い世界で生き残りたいと思うのなら、タレントさんの少なくとも10分の1くらいの努力は、アナウンサーも社内でやるべきだと思います。
新人アナウンサーで、自動的にテレビに出られる期間は3年くらい。その期間に力をつけて一生アナウンサーとして生きる覚悟を決めるか、アナウンサーの経験を活かして後の人生に繋げていくか?現役の時も、そういう意識を持ちながら働くべきだと思いますね。

Q5.アナウンサーから医師に転進された吉田さん。アナウンサー経験は今、役立っていますか?

アナウンサー出身だから外科手術が上手くなる、ということはもちろんないですが、医療情報を、世間に広くアナウンスする役目を負う医者というのも必要では?と思って今やっています。アナウンサーとして、カメラや大勢の人の前で、決まった尺の中で情報を伝えて、相手にわからせ、納得させることができるというのは大きなアドバンテージ。ぜひ元局アナの皆さんも専門知識を身に付けて、それを大いに活かしてほしいですね。
どんな仕事でも長年やれば技量は身につきますが、たかだか3〜5年というキャリアで大きなリターンが返ってくるという尺度で見れば、アナウンサーというのは非常に貴重なキャリアです。

Q6.専門知識にアナウンサー経験をプラスすることで、またTVに出るチャンスが生まれるかもしれませんね。

アナウンサーをやった人は、アナウンサーが1番好きな仕事だと思うんです。私も、今でもテレビに出るのが一番好きですから(笑)。だからと言って、テレビに出たいです!だけでは、テレビはずっとは出してくれないです。
じゃあどうしたかっていうと、私は次に医学情報が好きでしたから、医学でプラスアルファを考えたわけです。今でも暇さえあれば医学論文を読んで、毎日新しい発見をして、そのうちの何%は本という形で出版し、また何%かは放送という場で世間にお伝えしています。
その根本は、しゃべることはもの凄く好きだけど、それと同時に私は人体の仕組みや、自律神経の仕組みを知ることが大好きなんです。その「好き」という気持ちがないと、絶対にテレビで通用しない。新人アナウンサーの時は、キャピキャピしていればいいのですが、その先、何か個性で勝負することになった時に本気で「好き」なことがないと視聴者にばれてしまう。この人は何も本心から伝えようとしていないってね。
テレビに出るのに必要なのは、「好き」なことを見つけ、それを「極める」ということです。

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放送業界におけるアナウンサーの厳しい現実と、それを踏まえた上での新たな生き方を提案してくださった吉田先生。大切なのは、本当に「好き」なことを伝えようとする「熱意」だと学ぶことができました。
次号は、アナウンサーの「脳」のメカニズムについて、引き続き吉田先生にお話いただきます。お楽しみに!

(2008/10 東京・本郷にて)

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